教職員のみなさま、新年明けましておめでとうございます。
 大きな夢と新たな決意を胸に、良き年をお迎えになられたことと、心からお慶び申し上げます。


 さて、学校週5日制が始まり、3年が経過した今、三位一体の構造改革に象徴されますように、社会全体が、成熟する社会への通過点でもあるかのように、「依存」から「自立」に向かって大きく動き始めております。この流れは、政治・経済の域に留まらず、生き方の問題として、私たちを、「自分の人生は自分で考え、自分が責任を持って生きていく時代」へ送り込もうとしていると言えます。この潮流の中で、一人ひとりの内面に「新たな価値」を創ることを生業とする私たち教育関係者は、今、意識変革を余儀なくされているわけです。
 『やらないと何も生まれない。お客様は絶えず変化している。実行なき戦略は無に等しいことを感じました。教育界も企業と同じと、意を新たにしました。』これは、本市の民間企業研修参加者の感想文ですが、今、「株式会社による学校」「校区の自由化」「人事評価システム」「特別支援教育」等々、次々に提起される教育課題を前に、すべての子どもに、最低限、生きる力、知恵を保障するために何を行うべきか、その問いは、みなさま一人ひとりに投げかけられていると言えます。
 学校改革は、国や教育委員会が行うものではございません。日々、子どもたちと接するみなさま方こそが主体者なのです。
 「数年後の私たちの学校の姿は、これです。」と、各学校が、学校長を要に、ビジョンを共有することこそが、厳しい現状を打開する堅固な武器となるものです。「共通の目標」「協働の意欲」「互いのコミュニケーション」を合い言葉に、各校で、信頼される教育集団を築き上げてください。

 一方、努力によって希望をかなえることが出来る社会に陰りが広がり、夢を描きにくい時代の中で、子どもたちが、時代へのうっ屈した思いとともに、悩みや不安、葛藤に、ややもすれば打ちひしがれてしまうのではと、危機感を感ぜずにはおれません。社会が豊かになった分だけ、私たちは、心をつかうことを忘れてはならないと言えます。就学までに、心の根が育っていた一昔前の子どもたちに比べ、今の子どもは、就学して初めて人間関係を学び始めるとも言えます。教育書を読破しても、そこに心が通っていなければ、人まねで教育は出来ません。誰にでも通じる方法などございません。プロセスをおろそかにする社会の中で、子どもとの対話が昔以上に大事になっています。子ども一人ひとりに、真正面から向き合い、心をぶつかり合わせれば、必ず最良の結果が出てくるものです。人が人を育てるということは、思うままにならないところに魅力があり、思うようにいかないからこそ、教育に楽しみがあるのです。

 「何を教えるかより、何を育てるのか!」 「何をさせるかより、何をしたいと願っているのか!」「何が出来たかより、何をしようとしたのか!」「これまでどうであったかより、今後どうするのか!」
 『教室の前にある松の葉に降る雨の音が聞こえるような教室にならないといけない』とは、斉藤喜博氏の言葉ですが、子どもの声が聞こえなければ、大きな声を出すのではなく、より遠く離れ、より小さな声で、教室の空気がピーンと張りつめる、緊張感の漂う授業づくりに、本年度も、心血を注がれることを心からお願いいたします。


平成17年元旦           河内長野市教育委員会 教育長 福田 弘行