市内教職員他一同様
 
 教職員の皆様、新年、明けましておめでとうございます。新たな決意を胸に、良き年をお迎えになられたこととお喜び申し上げます。
 昨年、私は、多くの授業風景に出逢いました。その中で、子どもたちの多くが、誇らしげな顔で清新な挑戦をする姿にふれ、皆様方の日頃の汗を肌で感じた思いです。心から御礼申し上げます。本年も、皆様、また、ご家族の、さらなる御活躍、御健勝をお祈りいたします。
 
 さて、学校週五日制の導入は、学校に依存しすぎた戦後教育を根底から見直し、二十一世紀に求められる力を社会全体で育くもうという強い願いが契機としてあったわけです。しかし、過密からの脱却の思いとは裏腹に、ここ数年、学力低下に対する不安、さらには、深刻な不登校の実状や本市内で起きた痛ましい事件等々、教育に関わる課題が社会全体に波紋を巻き起こすたびに、新たな課題も含め、学校に、今まで以上の期待が押し寄せる結果となっている現状があります。しかし、限られた時間内に、多岐にわたる教育課題を、学校教育の中に網羅し、私たちの力だけで解決することなど到底不可能と言えます。
 この時期の私たちの使命は、意図的に学校を開く仕掛けをつくり、地域の人々や保護者を子どもの教育に結集させ、調和のとれた教育構図を創り上げていくことでしょう。そのためには、少なくとも各校単位で、全教職員が議論を深め、共通の“教育コンセプト”を持つことがまずもって必要となります。例えば、現在試行されている自己申告票や評価面談の意義も、ここにあると言えます。
 
 高度成長の時代、同一規格・大量生産を目指す一般社会から要請された人物像は、分業社会において、共通の知識・技能を持ち、仲間との調和を乱さない協調性の高い姿であり、さらには、同じ商品を黙々と生産できる我慢強さ、また、没個性・没独創性タイプの人物であったと言えます。
 こうした中、教室の中では、ややもすると、長所を伸ばすよりも欠点をなくし、皆が手をつないで一つのゴールに辿り着く“JISマーク人間”を大量に輩出することに比重がかけられていた側面がございます。視点を変えれば、教育が社会をこれほどまでに高度に成長させたとも言えます。
 しかし、知識をいくら蓄えても、生きる知恵は生まれてこないのは明白です。未来の社会で自己を発揮できる人間には、“知識を生み出す知力”と“弾性に富む気力”が備わっていることが重要です。そのためには、子どもたち一人ひとりが、目的地に到達するその旅筋で、多くの出逢い、友に学び、自然に学び、社会に学ぶことの重要性を今一度見直す時期にきていると言えるでしょう。
 
 新しい知恵の時代は、すでに始まっています。
 義務教育段階を受け持つ私たちは、『根を養えば、自ずと樹は育つ』の言葉を噛みしめ、目の前の子どもが、“個人としての価値”を高め続けていくことができるように、九年間でどんな知力・気力を培うのか、知恵を一つに結集し、教育コンセンサスを確立して、各校に揺るぎない文化を構築していただきたいと思います。
陶土は土に聞け、華道は花に聞け!
 子どもたちの現実を見据えた具体的な指導方法、「目の前の子に、今、何をなすべきか」を知り得るのは、皆様方以外にはないわけです。
 私どもも、持てる力を最大発揮いたします。共に、新生河内長野教育の創造に力を結集下さい。
 
平成十六年元旦                      河内長野市教育委員会
教 育 長 福田 弘行